dragan2007-01-19


 フットボール関係者の中でよく使われるフレーズに、「ゴールキーパーには30歳を越えてからピークが訪れる」というものがある。2006年のウクライナ年間最優秀ゴールキーパーにも選出された(通算で5度目の受賞)ショフコフスキーはまさにその典型といえるプレーヤーだ。

 もちろん、ゴールキーパー各人によって「ピーク」がどこに存在するかは異なるが、31歳にして国際舞台としてはもっとも大規模なワールドカップに出場を果たし、自らも「私のキャリアではピークはまだやって来ていないし、またこれから数多くのゲームを通して達成感が得られるであろう」と公言していることからも、彼が今後ますます脂の乗ったパフォーマンスを披露してくれる公算は非常に大きい。

 もっとも、若いころから国内では注目された存在であり、時折ヨーロッパ戦線にも顔を出す強豪クラブ、ディナモ・キエフでの活躍が認められ、U−21代表で12試合に出場するなど実力は折り紙つきであった。A代表でも12年間で63キャップを刻み、不動の守護神としてゴールマウスに君臨している。2006年のウクライナ選手権時に相手とのコンタクトプレーで鎖骨を骨折してW杯出場が危ぶまれたが、本大会ではそれを感じさせないプレーで幾度となくチームを救い、初出場で8強入りという快挙の原動力となった。

 特に圧巻だったのは決勝トーナメント1回戦のスイス戦。120分を戦い抜き、PK戦にもつれ込んだこの試合でウクライナに勝利を手繰り寄せたのは間違いなくショフコフスキーであった。なんと3本受けたキックで相手に1本も決めさせず、しかも2本は手と足でストップしたのである(トランキッロ・バルネッタが放った1本はゴールマウスを捉えることができなかった)!

 代表チームではDFアンドリー・ルソルがスイーパー的な役割を果たしているため、ショフコフスキー自身はそれほど広いディフェンディングエリアを守ることはないが、本来はアグレッシブなスタイルでのゴールキーピングが身上。時折大ポカもあるが、国内リーグ戦なども彼一人で勝ち点を稼ぎ出したゲームも少なくない。また「掴むか、弾くか」の判断力やシュートストップスキルも高いレベルで備えている。